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『二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター(通巻123号)』(転載)

二木立

発行日2014年10月01日

出所を明示していただければ、御自由に引用・転送していただいて結構ですが、他の雑誌に発表済みの拙論全文を別の雑誌・新聞に転載することを希望される方は、事前に初出誌の編集部と私の許可を求めて下さい。無断引用・転載は固くお断りします。御笑読の上、率直な御感想・御質問・御意見、あるいは皆様がご存知の関連情報をお送りいただければ幸いです。


目次


1. 論文:予防・健康増進活動の経済評価の主な文献

(『文化連情報』2014年10月号(439号):13-18頁。「二木学長の医療時評」(125)「健康寿命延伸で医療・介護費は抑制されるか?」(『日本医事新報』2014年8月16日号(4712号)掲載論文の転載)の「補足」)

本文(『日本医事新報』4712号掲載)の「健康・予防活動で医療費はむしろ増加する」の項では、紙数の制約のため、その根拠となる文献は、禁煙プログラムの経済評価を除いて、紹介できませんでした。そこで以下に、主な英語文献を10編紹介します。最初の著書(古典)以外は、2005年以降発表されたものです。概説書・総説(4)、体系的文献レビュー(2)、個別の実証研究論文(4)の順に紹介します。本・論文の概要は< >で示し、ゴチックは私が特に重要と思う箇所です。私のコメントと区別するため、概要は「である調」で書きます。

1.概説書・総説

ラッセル『予防は治療に勝るか?』

予防の経済評価の研究者の草分け・第一人者であるラッセルが、1986年に出版した先駆的著作です(1)。この分野の研究の古典であり、この分野の研究者の必読書です。しかも、現在でも流通しています。少し長くなりますが、概要は以下の通りです。

<一般に予防は明らかな効果があるだけではなく、治療に比べて費用が安くてすむと言われている。しかし、本書はこのような単純な見方を排して、代表的予防手段の効果、リスク、費用を分析的に検討し、その結果、疾病の予防は効果と共に多少のリスクをも持っていること、および予防手段の費用(単価)は一見少額に見える場合も、総費用は治療費の節減額より大きくなること-予防は一般的に医療費を増加させること-を明らかにする。この結果に基づいて、著者は医療における投資の選択は、予防か治療かの二者択一ではなく、予防と治療の最適ミックスを探すことであると結論づける。全体は5章から構成されている。

まず第1章では、各予防手段の評価(費用効果分析)のために、以下の5つのチェックリストを示す:(1)対象とする集団と予防手段実施の頻度、(2)リスクの規模(疾病に罹患するリスクと予防手段実施に伴うリスク)、(3)リスクの不確実性、(4)個々人の価値観(選好)、(5)予防手段が実施され効果が現れるまでの期間(「懐妊期間」)。

続く第2~4章では、3つの領域の代表的予防手段-(1)ワクチン(種痘と麻疹ワクチン)、(2)スクリーニング(高血圧の早期発見・早期治療と子宮癌検診)、(3)ライフスタイルの変化(運動)-についての歴史と論争、主要な臨床・疫学的調査研究の結果をフォローするとともに、費用効果分析の視点から問題点を整理する。

特に、従来ライフスタイルの変化(運動)のための費用がほとんど無視されてきたのに対して、第4章で、国民がこの予防手段を実行するように啓蒙するためには膨大な費用がかかること、および各人が運動を実行する場合には少額の貨幣費用以外に相当の時間費用(機会費用)がかかることを指摘する。ただし、このライフスタイルの変化の費用効果分析はまだ[1980年代中葉には-二木]欧米でも実施されていない。

最後に第5章では、今後費用効果分析を標準化するために必要なポイントとして、以下の6点をあげる。(1)研究の視角(費用を誰が支払うかにかかわりなくすべての費用と効果を明示する)、(2)同一の割引率を使用(予防の効果は費用が使われてから長期間後にしか現れないため、割引率の問題は特別に重要。5%が妥当)、(3)予防手段の結果延命された年限に消費される医療費は除外する、(4)施設収容の費用としては施設収容費と在宅生活費との差額のみ計算する、(5)予防手段の効果はQOLの変化を反映した「健康な余命の延長」、「質を調整した余命の延長」で測定する、(6)余命の延長の結果得られる勤労所得を予防費用から差し引くのは重複計算になるため、不適切である。>

「予防による医療費増加率抑制の可能性」

ラッセルは、2007年に上掲書出版以降20年間に積み重ねられた実証研究の成果を踏まえた総説を発表しました(2)。その要旨は、以下の通りです。

<予防は医療費増加率を抑制する切り札とされることが多い。しかし、予防は単一の手段ではなく、それの経済効果は、(1)ワクチン、(2)重篤な疾病予防の薬物療法、(3)疾病の早期発見、(4)ライフスタイルの変化に分けて、個別に検討しなければならない。一般にワクチンはもっとも費用対効果が良い(健康な余命1年延長当たり費用が少ない。以下同じ)が、個々のワクチンの費用対効果は、疾病の発生率、ワクチンの効果と価格に依存しており、常に医療費を抑制するわけではない。重篤な疾病予防の薬物療法(降圧剤の服用等)の費用対効果も薬物の効果と価格に依存し、薬物の価格が高い場合には医療費が増加する。疾病の早期発見は、それが疾患の治癒につながる場合にのみ費用効果的である。最後にライフスタイルの変化(糖尿病予防、禁煙等)では、それの効果そのものが問題となり、多くの国民は不健康な習慣を続けることが多い。しかも、患者の時間価値を経済計算に含むと、ライフスタイルの変化による見かけ上の費用削減は、実際には医療部門側から患者側へのコストシフティングにすぎないかもしれない。最後に、各種予防手段の費用対効果研究の結果を一覧表にしてみると、費用対効果は非常にバラツキが大きく、予防が常に医療費を抑制するとはとても言えない。大半の予防手段は、医療費の増加と健康状態の改善の両方をもたらす。>

コーエン等「予防医療は費用を削減するか?」

本論文は2008年のアメリカ大統領選挙中に発表され、副題は「医療経済学と大統領選挙候補者たち」です(3)。政治家や官僚が予防により医療費を節約できると空約束をする一方、医療経済学研究者がそのような主張には根拠がないと批判するのは、日米共通のようです。概要は以下の通りです。

<アメリカの大統領選挙の候補者選びでは医療問題が再び中心的争点となっており、有力立候補予定者はみな予防医療を重視し、それにより医療費を節減できると訴えている。確かに一部の予防的介入は費用を節減することが証明されているが、逆に費用を増加させるものもある。例えば、罹患率が非常に低く、しかも予防手段が確立していない疾患では、スクリーニング費用が治療費の節減を上回る。

この点を包括的に検討するために、「タフト・ニューイングランド医療センターの費用効果分析登録」に含まれる2000~2005年に発表された介入研究599論文を対象にして、予防と治療の費用対効果(QALY1年延長当たり費用)を比較したところ、予防と治療(既存疾患の治療)の費用対効果の分布はきわめて類似していた。費用を節減した介入は、予防20%弱、治療18%強にすぎず、もっとも多いのはQALY1年延長当たり費用が10,000~50,000ドルの介入であり、予防36%弱、治療34%強であった(論文では分布図のみ掲載)。この結果は、予防的介入のうち医療費を節減できるものはごく一部にすぎないことを示している。>

「疾病の予防についての経済的議論の精査」

2009年に発表された公衆衛生学者による、経済学的には「予防は治療に勝る」とは言えないという、医療経済学者の間では常識に成りつつある主張に対する反論です(4)。ただし、問いの設定が間違っている等、著者の指摘は妥当だと思います。例えば、「予防は他の商品と同じく、費用抑制のために購入されるわけではない」との主張は、本論文の本文で紹介した、ラッセルの「慢性疾患の予防は重要な投資だが、費用節減を当てにするな」との主張と共通しています。概要は以下の通りです。

<疾病の予防は健康を増進し医療費を抑制する人気のある政策である。しかし経済学者は、予防はまれにしか純費用を削減せず、治療に比べて費用対効果に優れているとは言えないと主張している。しかし、これは問いの設定が間違っている。なぜなら、予防は他の商品と同じく、費用抑制のために購入されるわけではないからである。正しい問いは個々の予防・治療の費用対効果を分析的に検討することであり、この視点からは以下の4点が明らかである。(1)中核的予防サービスは効果があり、多くの国民の命を救っている。(2)根拠が確認された臨床的予防サービスは費用対効果に非常に優れており、質調整生存年(QALY)1年延長当たり費用は、主要疾患治療のそれよりはるかに低額である。(3)費用対効果に優れる中核的予防サービスの一部(対象を限定したもの。例:小児に対するワクチン)は純費用を節減する。(4)一部の予防サービスは多くの治療と同じく、費用対効果面で劣る。>

2.体系的文献レビュー

「2型糖尿病に対する予防的介入の費用対効果」

個別の疾患の予防活動のうち経済的評価が最も進んでいるのは糖尿病です。2007年に発表された本論文はそれの代表的体系的文献レビューです(5)。まず概要を紹介し、結果を解釈する場合の留意点を述べます。

<各種データベースを用いて収集した2型糖尿病(旧称・インスリン非依存型糖尿病)に対する予防的介入の経済評価を行った78論文のうち、比較対照群があり、しかも延長した余命またはQOLY(質を調整した生存年)1年当たり費用を示している費用効果分析・費用効用分析23論文を対象として、体系的文献レビューを行った。これらの文献は1990~2004年に発表された英語論文でしかも、介入対象は白人である。予防戦略は、一次予防(糖尿病のハイリスク者または一般成人を対象とした発症予防)、二次予防(スクリーニングによる早期発見・早期治療)、三次予防(糖尿病患者の厳格なフォローアップと治療により重大な合併症の発症を予防または遅延)に分けた。三次予防の方法は、患者教育、食事療法と運動、体重減少・高脂血症治療・高血圧治療等の薬物療法であった。各論文の経済評価の質は、「イギリス医師会雑誌チェックリスト」を用いて判定した。

その結果、糖尿病の一次予防は費用対効果比が非常に良好だったが、この結論は2論文のみの結果に基づいており、しかも1つの論文の質は低かった。二次予防の経済評価によると、スクリーニングの対象を成人全体にするよりも、高血圧患者に限定した方が、全年令で費用対効果比が良かったが、論文は1論文のみである。三次予防の経済評価の論文は20あった。費用対効果比がもっともすぐれているのは高血圧の厳格な薬物療法であり、肥満と高脂血症の治療も対照群に比べると費用対効果比が良好であった。それに対して、ライフスタイルへの介入(教育と運動)と患者教育による三次予防の費用対効果比についてはほとんど情報が得られなかった。厳格な高血圧の薬物療法以外の三次予防の結果にはバラツキが大きく、現段階では断定的結論は得られない。>

注意していただきたいのは、この論文で検討されているのは「費用対効果比」であり、医療費総額の抑制ではないことです。つまり、予防的介入により医療費が増えても、それにより延長した余命またはQALY1年当たり費用が低下するか、「標準治療」よりも安い場合は、費用対効果比が良好と判定されます。しかも、現実には、一次・二次予防では(潜在)患者の掘り起こしがされ、対象が大幅に増加するため、医療費総額は増えるのが普通です。また、「三次予防」とは公衆衛生学上の用法で、一般の臨床医学で言う治療そのものです。

「疾病管理プログラムが糖尿病、うつ病、心疾患または慢性閉塞性肺疾患患者の医療費に与える影響」

2011年に発表された疾病管理プログラムの経済評価についての丁寧な文献レビューで、最後の控えめな結論も妥当です(6)。概要は以下の通りです。

<疾病管理プログラムが糖尿病、うつ病、心疾患または慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の医療費に与える影響を評価するために、Pubmedを用いて2007~2009年に発表された疾病管理プログラムの経済評価を行った英語論文の検索を行い、最終的に31論文を選んで体系的文献レビューを行った。疾病管理プログラムは、Wagner等の慢性疾患医療モデルの6要素のうち、2要素以上を含んでいるものと操作的に定義した。費用は2007年の購買力平価表示米ドルとした。31論文が評価していた疾患は糖尿病(14)、うつ病(4)、心疾患(8)、COPD(5)であった。研究が実施された国は8カ国で、アメリカで実施された論文が20であった。通常医療を受けていた患者と疾病プログラム参加者の患者1人・1年当たり医療費の差は-16,996ドル(プログラムにより医療費節減)~+3305ドル(同増加)と幅があり、13論文(約4割)で医療費が節減されていた(ただし、5%危険率で有意に削減されたのは6論文)。医療費だけでなく、研究デザイン、疾病管理プログラムの用い方、経済的評価等にも大きなバラツキがあった。以上より、疾病管理プログラムは医療費を抑制すると広く信じられているが、今回の研究ではその主張の根拠はまだ決定的ではない(inconclusive)と結論づけられる。>

3.個別の予防・健康増進活動の経済評価

実証研究はたくさんありますが、論文名と「概要」を読むだけでは、費用が抑制されると思える論文でも、本文中のデータをていねいに読むとそれが否定されるものが少なく、注意が必要です。誤読しないポイントは2つあります。1つは「介入費用」が含まれているか否かを確認すること、もう1つ単なる「費用効果的だった」との表現は、医療費が増加することの「婉曲表現」である可能性が高いことです。

「糖尿病予防目的で耐糖能障害の男女のライフスタイルに介入するのは費用効果的である」

フィンランドで行われ、2007年に発表された研究です(7)。まず概要を紹介し、次に結果を解釈する場合の留意点を述べます。

<フィンランドで行われた糖尿病予防研究(ランダム化介入プログラム)で、耐糖能障害を有する男女を対象にして、ライフスタイル変容のため食事と運動に焦点化した集中的介入を行うと、2型糖尿病の発症を予防できることが確認されている。本研究では、このデータとスウェーデンの費用データを統合して作成したシミュレーションモデルにより、このプログラムの費用対効果を計算した。対象はスウェーデン・ストックホルム県在住の60歳以上の高齢者397人で、介入期間は6年とした。

その結果、介入群の余命は平均0.18年延長し、費用(直接費用と間接費用の合計)も非介入群よりも1853ユーロ低かった。ただし、介入費用は2614ユーロであったため、社会的視点からみた総費用は介入群の方が761ユーロ高かった。介入群では余命の延長に伴う医療費が発生するが、それの費用対効果は1QALY(質調整済み生存年)当たり2363ユーロと推計された。>

糖尿病予備軍に対する食事と運動に焦点化した介入プログラムの貴重な費用効果分析で、しかも(1)介入期間中の総費用は増加する、(2)余命の延長により介入終了後の医療費も増加するという、本文に書かれている結果も妥当と思います。ただし、本論文の要旨では「本プログラムは医療支払い者の視点からは費用節約」(医療費は減少するという意味?)とだけ書かれており、「社会的視点からは総費用が増加する」ことが書かれていません。そのため、要旨を読むだけでは、逆の印象を持つ危険があります。

「アメリカの成人を対象にした血圧改善管理の医療費に与える影響」

2011年に発表された、アメリカのマサチューセッツ州で行われた研究です(8)。疾病管理プログラムの経済評価についての多くの研究は、それにより医療費を抑制できると主張していますが、本研究はそれにより医療の質と医療費の両方が上がることを正直に示しており、貴重です。概要は以下の通りです。

<「地域の質指標調査」に参加したマサチューセッツ州の高血圧患者4500人のカルテ記録と医療費データを用いて、医療費支払い者(保険者)の視点から、血圧管理プログラムの2年間の費用対効果をシミュレーションした。これらの住民は、通常医療に加えて、血圧管理の目標を達成するための様々な助言を受け、実際に65%が推奨された医療を受けていることが確認されている。通常医療に比べて、血圧管理プログラムでは、患者1人・1年当たりの総医療費(入院医療費も含む。保険給付分。以下同じ)は170ドル高かった。2年間で新たに治療目標を達成した患者の追加医療費は平均1696ドルであった。>

「メディケア健康支援疾病管理モデル事業の結果」

アメリカで鳴り物入りで行われた、メディケアのモデル事業の悲惨な結果についての報告です(2011年発表)(9)。これにより、少なくとも、看護師主体のコールセンターを用いた疾病管理プログラムの費用対効果は非常に悪いことが明らかにされました。概要は以下の通りです。

<2003年メディケア現代化法により、議会はメディケア・メディケイド・サービスセンターに、民間企業の疾病管理モデルをメディケアの出来高払いプログラムで検証することを求めた。「メディケア健康支援モデル事業は、看護師主体のコールセンターを用いた8つの民間企業による疾病管理プログラム(以下、疾病管理プログラム)で構成される、大規模なランダム化調査である。心不全と糖尿病のいずれかまたは両方を有する患者242,417人を介入群と通常治療群(対照群)にランダムに割り付け、差の差法(DID)により、疾病管理プログラムの臨床治療の質、救急医療の利用、メディケアの出来高払い医療費に与える影響を評価した。その結果、8つの疾病管理プログラムのすべてで、介入群の入院、救急外来受診は、対照群に比べ減少しなかった。比較した40の治療プロセス指標のうち、疾病管理プログラムで有意な改善がみられたのは14項目だけだった。このわずかな効果を得るために疾病管理プログラムに支払われた費用は膨大(4億ドル)であり、当初期待されたメディケア総費用の削減はまったくなかった。>

「心血管疾患を持つアメリカ人がより多く長生きすれば、医療費は増加し生活の質は低下するであろう」

2013年に発表された論文です(10)。心血管疾患の死亡率の低下が有病率の上昇を招き、医療費が増加するというロジックは、他の疾患・障害にも通じると思います。日本では、小泉内閣時代に成立した医療制度改革関連法(2006年)から、『平成26年版厚生労働白書』に至るまで、生活習慣病対策や健康寿命の延伸により、医療費が大幅に抑制できると公式に(建前では)主張されていますが、それは幻想です。概要は以下の通りです。

<過去数十年間、心血管疾患のリスクファクターの一部は改善したが、一部は悪化した。例えば、喫煙率は低下し、心血管疾患の治療率は向上し、それによりその死亡率は低下した。同じ期間に、アメリカ人の平均BMI(肥満度指数)や糖尿病の有病率は増加したが、平均余命は延長したので、心血管疾患の有病率は増加した。これらの相対立する趨勢の総合的影響を評価するために、1973~2010年に行われた7つの全国健康・栄養調査を用いて、2015~2030年の心血管疾患のリスクと有病率の将来予測を行った。それにより、心血管疾患の治療の改善と喫煙率の低下が今後も続いても、それは人口高齢化と肥満の増加による心血管疾患リスクの増加を相殺できないとの結果が得られた。今後の人口高齢化と肥満の蔓延、および心血管疾患死亡率低下を所与とすれば、アメリカでは心血管疾患の有病率増加に伴い、医療費と障害の急増、および生活の質の低下が生じると予測すべきである。このような心血管疾患の有病率の急増を抑制するためには、高血圧と高脂血症、および肥満を対象にした政策が必要である。>

文献

[補足で紹介した文献は、「二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター」(2005年1月から毎月配信。最新版は2014年9月配信の122号)の各号の「最近発表された興味ある医療経済・政策学関連の英語論文」欄で紹介した、予防・健康増進活動の経済評価関連の論文32論文から厳選しました。全論文の概要ファイルをご希望の方は、私に直接ご請求下さい(niki@n-fukushi.ac.jp)]。

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2.論文:国民医療費の構造と論点

(日本社会福祉学会事典編集委員会編『社会福祉学事典』丸善出版,2014年5月,294-295頁)

国民医療費の定義・範囲と規模 「総医療費」の定義は各国で異なっている。国際的にはOECD(経済協力開発機構)「Health Data」の定義が、日本では「国民医療費」が用いられる。後者は「当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用」と定義され、「医科診療や歯科診療に係る診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等」が含まれる。保険診療の対象とならない「保険外併用療養」の費用(先進医療や入院時室料差額、歯科差額)は含まれない。「傷病の治療費」に限られているため、正常な妊娠・分娩や、健康診断・予防接種に要する費用等も含まれない。つまり、国民医療費の範囲は、諸外国に比べてかなり狭い。

国民医療費総額は2011年度で38兆5850万円であり、国民総生産(GDP)、国民所得に対する比率はそれぞれ8.2%、11.3%である(以下、数値は断りのない限り2011年度分)。国民医療費の規模を検討する場合は、実額ではなく、国民経済の規模に対する割合を用いる必要がある。国際的にはGDP対比が用いられる。

国民医療費の構造 5側面から示す。(1)制度別:医療保険給付分47.5%、後期高齢者医療給付分31.8%、公費負担医療給付分7.2%、患者等負担分13.0%である。(2)財源別:保険料48.6%(事業主20.2%、被保険者28.4%)、公費38.4%(国26.0%、地方12.4%)、患者負担12.3%である。被保険者保険料と患者負担を合わせた「家計負担」は40.7%である。日本の医療保障制度は「社会保険方式」と言われているが、財源的に見ると「保険料・公費混合方式」となっている。これは、国民健康保険や後期高齢者医療制度に、多額の公費が投入されていためである。(3)傷病別:上位3疾患は循環器系の疾病20.8%、新生物(ガンが大半)13.1%、呼吸器系の疾患7.8%である。(4)診療種類別:入院37.3%、入院外34.8%、歯科診療6.9%、薬局調剤17.2%、入院時食事・生活医療費2.1%(これは実質的には入院医療費)、訪問看護0.2%である。入院・入院外を合わせた病院分は50.0%、同一般診療所は22.1%である。(5)最終配分:医療従事者(人件費)47.7%、医薬品22.1%、医療材料6.0%、委託費5.0%、経費・その他(光熱費、賃貸料等)19.2%である。歴史的には人件費の割合は5割で安定していたが、2000年度の50.2%から2011年度の47.7%へと11年間に2.3%ポイントも低下している。逆に、医薬品の割合は同じ期間に19.6%から22.2%へと2.6%も増加している。

なお、国民医療費には含まれない医療費でもっとも規模が大きいのは室料差額(差額ベッド)であり、約4440億円である(厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」から二木推計)。それに対して、「先進医療」(保険適用外分)は約100億円にとどまっている。

国民医療費についての論点 3つの論点について検討する。

(1)日本の医療費水準は国際平均? 医療費水準の国際比較は、OECD「Health Data」を用いて、対GDP比で行うのが一般的であるが、1人当たり医療費(購買力平価換算の米ドル表示)も併用される。日本の医療費水準がOECD加盟国の中で低位にあることは、広く知られており、『平成24年度厚生労働白書』(118頁)も認めていた。しかし、2013年から、OECD加盟国の平均値になった、あるいはそれを超えたとの言説が現れた。しかし、これはOECD統計の数値の読み間違いであり、日本の2009年の総医療費の対GDP比は9.5%で、OECD平均の9.8%をまだ下回っており、OECD加盟33か国中20位である。主要先進国(G7)の中では6位である。1人当たり医療費でも同様の結果である。

(2)人口高齢化が医療費増加の主因? 日本では、(後期)高齢者医療費が国民医療費の増加率を上回って増加し続けているため、人口高齢化が医療費増加の主因であるとの言説が根強い。しかしこれは、人口高齢化により、非高齢者人口およびその医療費が減少することを見落とした「錯覚」である。この点を補正すると、人口高齢化による国民医療費増加は1.3~1.6%(2006~2011年度)にとどまり、同じ期間の国民医療費増加率3%前後の半分以下である(厚生労働省「国民医療費」参考資料)。しかも、人口高齢化による国民医療費増加率は今後漸減すると推計されている。つまり、人口高齢化は医療費増加の重要な要因ではあるが、主因ではない。海外では、主因は技術進歩であるとの実証研究が多い。

(3)高齢者の終末期医療費が多額? 日本では、高齢者の終末期医療費が高額であり、それが医療保険財政を圧迫しているとの言説が繰り返されている(例えば、2013年1月の麻生太郎副総理の「1500万円」かかるとの発言)。しかし、健保連「高額レセプト上位の概要」によれば、2011年度の1000万円以上の高額レセプト179件のうち、60~74歳はわずか7.3%にすぎない。国民医療費レベルで見ると、1998年度の全年令の死亡前1か月の医療費総額は7859億円であり、一般診療医療費(23.3兆円)のわずか3.4%にすぎない。しかも、これには心筋梗塞や脳卒中等で「急性期死亡」した患者の医療費も含まれている。一般に「終末期」と言われている「慢性期死亡」の患者に限定すれば、この割合が大幅に低下することは確実である。 [二木立]

【参考文献】

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3.最近発表された興味ある医療経済・政策学関連の英語論文

(通算105回.2014年分その7:7論文)
「論文名の邦訳」(筆頭著者名:論文名.雑誌名 巻(号):開始ページ-終了ページ,発行年)[論文の性格]論文のサワリ(要旨の抄訳±α)の順。論文名の邦訳中の[ ]は私の補足。

<P4P(5論文)>

○イギリスにおける[家庭医対象の]質に応じた支払い[P4P]の成功と失敗
Roland M, et al: Success and failures of pay for performance in the United Kingdom. NEJM 370(20):1944-1949,2014.[総説]

イギリスは2004年に世界最初の大規模P4Pである「質とアウトカム・フレームワーク」を家庭医の報酬支払いに導入し、現在では彼らの所得の4分の1はこれによるものである。体系的文献レビューも20以上行われている。イギリスのP4Pの10年間の教訓は以下の6つにまとめられる。(1)P4Pは医療の質を改善するために用いられ得るが、それは「魔法の弾丸」ではなく、持続的改善を生み出すためには、他の質改善手法と結合される必要がある。(2)専門職の価値観と整合的な財政的インセンティブを設ければ、意図せざる結果を生むリスクを減らせるかもしれない。(3)P4Pの管理者は診療行為の大きな部分は現時点では測定できないことを認識する必要がある。(4)医師は自己の評判を気にする。個々の医師の医療の質についての情報公開はしばしばP4Pと同時に導入され、彼らの行動を変化させる重要な要因になるかもしれない。(5)単一疾患の指標は複数の併発疾患を持つ高齢患者のニーズに適合しないかもしれない。(6)所得の25%がP4Pであるために、家庭医は診療でP4Pに関連した領域のみに注意を向けるようになっている。この割合を低下させるための所得再分配の提案は広く歓迎されている。

二木コメント-イギリスの家庭医対象のP4Pについての最新・最良の「総説」です。上記の6つの教訓にも、本文にも、P4Pによる医療費削減効果が含まれていないことが重要です。イギリスのP4Pは、他国のほとんどのP4Pと同じく、「プロセスの改善に応じた支払い」が基本であるため、医療の質の向上(正確には医療プロセスの改善)により医療費は増加するからです。日本では、イギリスのP4Pで「住民の健康水準が高く保たれ、総医療費の伸びを抑制できる」と主張する方がいますが、それはとんでもない誤解です(例:森田朗国立社会保障・人口問題研究所長。『医薬経済』2014年8月1日号:3頁)。

○イギリスの[一地方における]病院対象の質に応じた支払い[P4P]が死亡率に与える長期的効果
Kristensen SR, et al: Long-term effect of hospital pay for performance on mortality in England. NEJM 371(6):540-548,2014.[量的研究]

「病院の質インセンティブモデル事業」に基づく質に応じた支払い(P4P)がイングランドの北西地方の全病院に2008年に導入され、それは短期的(開始後18カ月間)には死亡率の低下と関連していた。本研究では、このプログラムの長期的効果を検討した。8疾患(うち、急性心筋梗塞、心不全、肺炎の3疾患がP4Pプログラムの対象)の入院患者182万5518人の入院後30日以内死亡率を分析した。病院には、P4Pプログラム参加の北西地方の24病院(介入群)と、それに参加しないイングランドのそれ以外の地方の137病院(対照群)を含んだ。P4Pプログラム参加病院のうち、パフォーマンスが良好だった病院にはボーナスが支払われた。差の差回帰分析により、リスク調整済み死亡率(以下、死亡率)をプログラム開始前18カ月間と開始後短期間(18カ月間)、長期間(次の24カ月間)とで比較した。

短期・長期とも、P4Pプログラム参加病院のパフォーマンスは改善し続け、P4Pプログラムの対象となる3疾患の死亡率は低下し続けた。ただし、これら疾患の死亡率低下は介入群よりも対照群の病院の方が大きかった(差は0.7%ポイント)。開始後42カ月間でみると、両群の病院の死亡率の差に有意差はなかった。長期・短期とも、P4Pプログラムの対象外の5疾患の死亡率低下は、介入群の病院の方が対照群の病院よりも大きかった(差は1.2%ポイント)。P4Pプログラム対象外の疾患の診療に対しても正の波及効果が存在している可能性がある。

二木コメント-当局の予想(期待)に反して、P4Pプログラムによる死亡率低下は短期にとどまり、長期的には消失するという結果が得られています。P4Pプログラム参加病院のうちパフォーマンスが良好な病院にはボーナスが支払われるので、上述した家庭医に対するP4Pの場合と同じく、当然、総費用は増加します。私の経験では、ほとんどの「介入試験」で、短期的には効果があっても、長期的にはそれは消失するという結果が得られていると思います。逆に、短期的に効果がなくても、長期的に効果が出てくるという「介入」は、少なくとも医療費抑制効果については見たことがありません。

○質に応じた支払い[P4P]でボーナスを得ることは質パフォーマンスを持続的に改善するか?[アメリカのプレミエール]病院の質インセンティブモデル事業」から得られたエビデンス
Ryan A, et al: Does winning a pay-for-performance bonus improve subsequent quality performance? Evidence from the Hospital Quality Incentive Demonstration. Health Services Research 49(2):568-587,2014.[量的研究]

「プレミエール病院の質インセンティブモデル事業」(メディケアのP4Pモデル事業。以下、モデル事業)で質の改善に対するボーナスを得ることが持続的な質改善を促進するか否かを評価するために、モデル事業に参加する260病院に2004~2006年の3年間に、急性心筋梗塞、心不全、肺炎で入院した患者の医療プロセス面での改善の病院レベルのデータ等を分析した。モデル事業では、各病院は、全病院を対象にして計算された質指標のトップ80~90%、90%以上に入れば、それぞれ通常のメディケア支払い額の1%分、2%分のボーナスを得られる。回帰分析により、これらトップ80%以上にランクされた病院がその後、この閾値にギリギリ達しなかった病院と比べて、さらに医療の質パフォーマンスを改善させたか否かを検討した。その結果、ごく一部の疾患の治療を除いて、ボーナス受給とその後の質パフォーマンス改善との間には統計的に有意な関連はなかった。

二木コメント-このモデル事業の効果研究の決定版と言える、実に緻密な研究です。多くの先行研究と同じく、アメリカでは、P4Pによる質改善効果は持続しないことが再確認されました。言うまでもなく、このP4Pモデル事業でも医療費は増加します。

○[カナダ・オンタリオ州に導入されたプライマリケア対象の]質に応じた支払い[P4P]に対する医師の反応:自然実験で得られたエビデンス
Li J, et al: Physician response to pay-for-performance: Evidence from a natural experiment. Health Economics 23(8):962-978,2014. [量的研究]

カナダ・オンタリオ州で行われた自然実験の結果を分析し、質に応じた支払いのインセンティブが対象としたプライマリケア・サービスに与えた影響を同定すると共に、医師の反応は年齢、患者数、およびベースラインのコンプライアンスレベルにより異なるか否かを検討した。オンタリオ州の1998~2008年の全人口の医療費データを用いた。それにはプライマリケア医が提供するほぼすべてのサービスを含んでいる。差の差法により推計のバイアスを除去すると共に、一連の頑健性チェックにより同時期に行われた他のプライマリケア改革による交絡をコントロールした。その結果、医師の反応は低調(modest)であり、しかも医師は一部のサービスに対する経済的誘因にしか反応していなかった。この結果は、先行研究の結果とも一致しており、P4P導入による医療の質の向上効果については慎重であるべきとのメッセージを提供している。

二木コメント-論文要旨は素っ気ないほど簡単ですが、本文は非常に緻密で(それだけに難解)で、「メッセージ」も明確です。

○質に応じた支払い[P4P]:質に対して毒がある?行動経済学から得られる洞察
Himmelstein DU, et al: Pay-for-performance: Toxic to quality? Insights from behavioral economics. International Journal of Health Services 44(2):203-214,2014.[評論]

質に応じた支払い(P4P)プログラムは、望ましい行動のための経済的インセンティブを設けることにより、医療の質を改善することを目指している。メディケアや多くの私保険は様々なP4Pを試みているが、それが患者の利益になることは示せていない。行動経済学という新しい領域から得られる知見は伝統的な経済学的見解、つまり金銭的報酬が唯一の動機付けになる、あるいはそれが利他主義等の内発的動機付けに単純に加算されるとの見解に挑戦している。行動経済学の研究により、金銭的報酬は逆に医師の動機を掘り崩し得るし、認知的に複雑で内発的に報酬の得られる仕事についてのパフォーマンスを悪化させ得ることを明らかにした。このことはP4Pが裏目に出ることを示唆している。

二木コメント-本論文の筆頭執筆者のHimmelstenと3番目の執筆者のWoolhandlerは、アメリカでももっとも著名な左派の医師・研究者・運動家です。彼らは、一般のP4P論では見逃されている点を鋭く突いていると思います。

<看護(2論文)>

○[アメリカの]正看護師は退職を延期しつつあり、この変化が最近の看護市場[における供給]拡大に貢献している
Auerbach DI, et al: Registered nurses are delaying retirement, a shift that has contributed to recent growth in the nurse workforce. Health Affairs 33(8):1474-1480,2014.[量的研究]

最近の就労正看護師数は、10年前の予測を大幅に上回っている。2012年の就労看護師数は270万人であり、10年前の予測(220万人)より50万人も多い。この差の多くは新卒看護師の増加によるものである。しかし、ベイビーブーマー世代の看護師が現在非常に多いことを考慮すると、就業看護師数は特に退職年齢とも密接な関係がある。1969~1990年には、50歳で就労していた看護師のうち62歳、69歳でも就労を継続していた者はそれぞれ47%、9%であった。対照的に、1991~2012年には、この割合はそれぞれ74%、24%に急増していた。この傾向は、最近の経済不況に先行しており、それにより50歳の看護師の残余就労年数は平均2.5年増え、2012年の就労看護師数は13.6万人増えた。多くの看護師は高齢になると病院以外で就業するようになるので、看護師を求めている病院以外の事業所の雇用主は、経験豊富な看護師のこのような就業形態の変化を歓迎するであろう。

二木コメント-大変ユニークな視点からの看護師労働市場の分析です。奥村元子氏(日本看護協会労働政策部看護労働課看護労働・確保対策担当専門職)から教えていただいた情報によると、日本でも同様の変化が生じており、60歳以上の看護職(看護師・准看護士・保健師・助産師の合計)の就業者数は2002~2012年の10年間に、39,480人から108,535人へと2.7倍も増加し、全就業看護職に占める割合も3.4%から7.5%に倍増しているそうです(元資料は厚生労働省『衛生行政報告例』の「看護職就業就業者統計」)。

○[アメリカ]カリフォルニア州の看護配置最低基準法の[看護職]労働市場への影響
Munnich EL: The labor market effects of California's minimum nurse staffing law. Health Economics 23(8):935-950,2014.[量的研究]

2004年、カリフォルニア州は全米で初めて、州内の全一般病院対象の看護配置最低基準を制定した。この規制法を導入するために数年間が費やされたにもかかわらず、本法により病院の看護職が増加した、あるい患者アウトカムが向上したことを示すエビデンスはほとんどない。本論文では、本法が正看護師の雇用と賃金に与えた影響を検討する。カリフォルニアの病院の各年の財務データを用いると、内科・外科病棟における看護師・患者比率は、法施行後大幅に上昇していた。しかし、2つの全国代表標本のデータセットでは、本法はカリフォルニアの病院で働く正看護師の総数にも労働時間数にもまったく影響を与えておらず、賃金の上昇もわずかであった。このことは、看護需要において、本法の潜在的効果を相殺する変化、具体的には病院閉鎖と病院内での看護労働の再編成が生じていることを示唆している。カリフォルニアの看護配置最低基準法導入の経験は、同様の政策の導入を検討しているが、カリフォルニアとはとまったく異なる病院市場を持つ他州にはそのまま当てはまらないかもしれない。

二木コメント-この論文の要旨はごく簡単ですが、本文の分析・記述は緻密です(全16頁)。医療に市場原理がほぼ全面的に導入されているアメリカでは、日本と異なり、法規制により期待される効果も簡単には実現しないようです。なお、カリフォルニアの看護配置最低基準法を含めた各国の「看護配置基準の問題点とその背景」については、安川文郎氏が詳細に検討しています(上記「」が論文名。同志社大学技術・企業・国際競争力研究セjeンター(ITEC)リサーチペーパー, 2005。ウェブ上に全文公開)。

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4. 私の好きな名言・警句の紹介(その118)-最近知った名言・警句

<研究と研究者の役割>

<組織のマネジメントとリーダーシップのあり方>

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