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民医連総会の印象

「理事長のページ」 研究所ニュース No.6 掲載分

 角瀬保雄

発行日2004年04月25日


全日本民医連の第36 回総会が2 月26 日から28 日まで埼玉県のさいたま市で開かれ、私はその初日に研究所を代表して挨拶を行ないました。研究所の活動の紹介、民医連院所の直面する課題と今後の民医連と研究所の協力共同関係がその内容でした。いずれ総会の記録集に収録されることになるはずですので、機会があればご覧頂きたいと思います。

ところで民医連総会は、私個人の研究史の上においても大きな意味をもっています。私はこれで民医連総会に3 回参加していますが、2 年に1 回の開催ですから4 年前からということになります。第1 回目の2000 年は大阪においてでした。それまで民医連総会には第3 者の傍聴はなかったということですが、当時、非営利・協同の運動を研究していた私は、民医連運動に注目し、その関係から総会を是非とも傍聴したいものと思い、その希望を申し出たわけです。 丁度、民医連の方でも開かれた民医連への新しい胎動が生まれてきたときで、快く受け入れていただきました。

2002 年は北九州市で開かれましたが、その年の10 月に非営利・協同総合研究所いのちとくらしが立ち上がり、私は理事長の責を担うことになりました。以来、民医連と研究所との協力共同の関係が強められて来ました。そして今回は研究所を代表しての参加となったということです。民医連は1953 年の結成以来、昨03 年で50 周年の画期を迎えましたが、今日加盟組織1641 カ所、共同組織会員(医療生協組合員と友の会会員)300 万という史上最高の峰を達成しています。そしてこの総会では400 万共同組織という新しい課題を設定しています。

と同時にこの間、民医連の目指す「無差別・平等」の医療には、小泉内閣の社会保障改悪の政策によって様々な困難がもたらされています。したがって、それとどうたたかうかが今回の総会の最大の課題となりました。まずイラク戦争にみられるように、戦争こそが人びとのいのちとくらしを破壊する最大の災厄であるということから、平和と憲法9条をまもる課題が前面にかかげられました。それとともに医療分野に関しては、国民的課題となっている医療の安全と医療・福祉の質の確保、内容の充実を目指し、それと関連して医師労働のコントロール、職員を守ることの重要性などが議論されました。そうした中で私なりに注目した所は、マネジメント能力を高めることが随所で強調されたことです。民医連は以前から民主的管理運営ということをかかげてきておりましたが、理念にとどまり、その実践ということになると、これからであったことも否定できないところでした。病院機能の第3者評価やIT化(電子カルテの導入)などが強調され、科学的管理によって管理の水準を引き上げ、どんな事態にも耐えうる安定した経営基盤、経営体質をつくりあげることが課題となりました。

最後に「経営困難組織支援規定」が明文化され、全国連帯基金の形成へと踏み出したことも注目されます。これまでの山梨勤医協、福岡健和会、大阪同仁会の経営再建支援の教訓を集大成したもので、「火事場のくそじから」ではなく、平時からセイフティ・ネットを準備しておくことは、激動の時代の非営利・協同の運動にとって大切なことといえます。

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