研究所の紹介
総研いのちとくらし
更新日2022年07月01日
1. 設立趣旨
激動の20世紀が終焉し、人類の新たな世紀が開幕しました。過ぎ去りし世紀は世界各国で民主的変革と民族独立等の闘いが大きく歴史を前進させる役割を果たし、国民の人権や社会保障制度等の整備拡充にも大きな影響を及ぼしました。前世紀二回目の世界大戦の後、我が国では新憲法の下で国民が主人公として位置づけられ、国民一人一人の基本的人権の大切さが強調され、戦前の無権利状態から大きな前進を図ることが出来ました。
21世紀初頭の今日、アメリカを中心とする多国籍企業勢力は、グローバル・スタンダードや自由な市場経済、自己責任と規制緩和等を錦の御旗として、我が国を含む世界各国へ規制や障壁の撤廃を求めつつ、一方で福祉・医療や教育分野への公共的財政負担の縮減を強く求めています。
我が国の医療・福祉・教育等の分野では、これらの取組みが群を抜いて突きつけられつつあります。介護保険導入、老人を含む自己負担の拡大実施など医療保険制度における国民負担のますますの増大化、公的年金制度の改悪や民営化論、障害者等の公的措置財政の打ち切り減額、独立行政法人制度の創設等々、第二次大戦後の国民の努力と闘いで勝ち取られてきた様々な権利や制度がなし崩し的に改悪されようとしています。
我が国は、バブル経済破綻を契機とした未曾有の長期不況と混迷の経済運営の下で、大手の企業を中心とする膨大な不良資産と累積赤字を、公的な負担すなわち国民一人一人の犠牲で乗り切ると共に、膨大な国家財政の赤字に対しては何ら責任のある対策をとらず、ムダな公共事業を続行し、近年の消費税増税をはじめ一層の国民負担を狙っています。
このような矛盾が進行する中で、医療や福祉や障害者等の諸団体は、制度の改悪等に果敢な闘いを挑みながら、経営体としては実際的な対応も迫られており、とりわけ非営利・協同の理念を掲げる諸団体等では懸命の努力を続けています。同時にそれらの多くの諸団体では、国民の現状と制度現状等に立脚した適正なあり様を提起するために、様々な調査と研究等の活動をも模索実践してきました。一方、行財政・経済・労働・社会・経営・会計・福祉・医療等の様々な分野で研究する学者や研究者達の中でも政府行政等から提起される諸施策に対して、様々な論文活動や講演活動等、その調査研究の活動も年を追うごとに質量の拡大を見出すことができます。
研究所の設立は、日本国民の医療や福祉のあり方を展望し、「まちづくり」や地域社会の連帯と共同の前進のため、多様な非営利・協同の組織が現実的な影響力を増大させる上でも、大きな役割を果たすことが期待されます。
私たち『特定非営利活動法人 非営利・協同総合研究所 いのちとくらし』は、新世紀の初頭で幅広い実践家、学者、研究者、団体・個人等に呼びかけて、医療・福祉、そしてまちづくりなど、様々な分野での非営利・協同、人権の確立を目指し、総合的研究所創設とそれら取組みに積極的に参加するとともに、自らがその一員として活動することとしています。医療・福祉の増進、まちづくりの推進、人権の擁護や平和の推進を進める上での非営利・協同の理念を正面からとらえ、この分野のシンクタンク、ネットワークの結節点としての役割を果すことを目指しています。
2. 事業内容
- スローガン
- いのちとくらし、医療・福祉の中に人権と非営利を目指す共同の輪を!
- 市場経済万能論をうち砕く理論と実践の研究を!
- 「まち」へ「地域」へ共生と協同の理論と実践の普及を!
- 事業目的
- 我が国の医療・福祉等の歴史や様々な制度・施策の調査・研究
- 非営利・協同の理念、意義、管理、経営、労働、会計、法制、税制等の調査研究
- 研究目的達成のための幅広い学者、研究者、実践者等の組織
- 各分野の研究調査等の結果の蓄積と普及
- 研究・調査テーマ
- 21世紀の日本の医療、福祉の施策や制度の現状分析と新世紀への提言
- 新自由主義と市場経済論の打破への理論構築
- 協同の「まちづくり」と、非営利・協同戦線の拡大の実践・理論研究
- 非営利・協同の実践・理論探求
3. 役員
- 理事長
- 中川雄一郎(明治大学名誉教授)
- 副理事長
- 高柳新 (全日本民医連名誉会長)
- 後藤道夫(都留文科大学名誉教授)
- 八田英之(全日本民医連顧問)
- 専務理事
- 山本淑子(全日本民医連事務局次長)