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大学人は戦う

「理事長のページ」 研究所ニュース No.53掲載分

中川雄一郎

発行日2016年02月29日


昨年11月30日発行の「研究所ニュース(No.52)」の「理事長のページ欄」に「闘いすんで日が暮れて」と題する、今では忘れ去られた感のある、しかしそれでも知る人ぞ知る、「心の哀愁」と言うべきか、それとも「欲望の愛執(あいしゅう)」と言うべきか、はたまた「欲に憑(と)りつかれた人間の愛着(あいじゃく)」と言うべきか、いずれにしても作家・佐藤愛子の「経験談的言葉」の意味を私流に翻訳し、解釈した私の「闘病報告」の駄文を載せていただいた。結局、私の肉体が日常生活にどうにか耐えられるようになったのは、3回目の手術である「鼠径(そけい)ヘルニア」の手術を終え、10月29日に退院してからおよそ2週間後であった。この「およそ2週間後」の11月14日(土)午後1時30分より明治大学のリバティタワーの大教室を埋めた重要な2回目の「戦争をしない、させない、さらにもう一歩前へ・安保法の廃棄を求める千代田4大学共同講演会」が開催された。私はこの講演会には「心身ともに健康体」で参加することができた。この集会は、自公政権と安倍内閣が憲法に違反し、立憲主義を破壊し、したがってまた、民主主義を蹂躙する戦争法案(安保関連法案)の強行採決を糾弾するそれであった。この講演会ではSEALsとママの会のスピーチおよび「法学者は語る」と「政治学者は語る」と題した講演が行われた。

実は私は、この2回目の集会の前の、9月15日(火)に明治大学で開催された1回目の「『安全保障関連法案』の廃案を求める千代田4大学(主催:明治大学九条の会・安保関連法に反対するオール明治の会・憲法を考える法政大学教職員の会・専修大学九条の会・日本大学九条の会・安保関連法案を求める日本大学教員の会、後援:明治大学教職員組合・千代田九条の会)共同講演会」には責任者でありながら参加できなかった。同じ「9月15日」に私は「尿管結石」の手術を受けなければならなかったからである。この共同講演会は午後6:00~20:00に明治大学リバティホールで開催され、明治大学法学部の浦田一郎教授と法政大学法科大学院の宮崎礼壹教授が講演された。浦田教授は「『安保法制』議論と市民の役割」と題する講演を、宮崎教授は「『安保法制』法案の違憲性について」と題する講演を行った。2回にわたって行われた「千代田4大学共同講演会」は首都圏の大学の連携を創り出す成果を生み出した。

「安保法」(戦争法)に対する法学者の問題意識は極めて高い。明治大学では11月末に法学部が主催する安保法反対の集会が開催された。この集会を経て、明治大学では法学部とオール明治の会の連携の基で、2016年4月23日(土)(午後12:30会場、13:30開会)に1,300人収納可能な明治大学アカデミーホールにおいて「金子兜太さんと平和・憲法を語る集い」(入場無料)を開催する。主催・明治大学法学部、後援が安全保障関連法に反対するオール明治の会、安保法制の廃止を求める日本大学関係者の会、安全保障関連法に反対する専修大学有志の会、千代田九条の会、科学者九条の会、大月書店、明治大学教職員組合。そして安全保障関連法に反対する学習院・学習院女子大学、立教大学、早稲田大学、慶応大学、東京学芸大学、東京芸術大学、東京大学、中央大学、創価大学・創価女子短期大学、青山学院、上智大学、東京理科大学など19大学の有志の会と東京私大教連が協賛する。協賛する大学はもっと増えるだろう。「会場を満杯にし、戦争法に反対する巨大な大学人の力を創り出そう」と私も老体に鞭打って走っているところである。

この「語る集い」のプログラムは次のようである。

金子兜太(とうた)(俳人)と黒田杏子(ももこ)(俳人)の対話講演

アンサンブル・フォー・ピース(合奏と合唱)

憲法の朗読

スピーチ(学長・総長、SEALDs、ママの会)

制服向上委員会ミニコンサート

 明治大学ではその他にも学生九条の会や科学者九条の会の訴えや講演会が行われており、4月23日に向けての会議や情報交換、ビラの配布や掲示が頻繁になされており、「体力の消耗を回復する暇もなく、ただただ耐力を鍛えている」という状態である。そう言えば、誰かが呟いていたな。「さて、一献傾けにいこうか。戦いすんで日が暮れてだ。何しろ大学人は戦う者なのだ」。

 ところで、遅ればせながら昨年6月に7~8人集まってコーヒーを飲みながら「安保法案に反対するオール明治の会」設立を談義し、その結果、名称を「安保関連法案に反対するオール明治の会」とし、設立の「呼びかけ人」として50人ほどの方々にお願いしようということになり、そして「村山富市元首相に呼びかけ人になっていただくよう依頼する」責任が私に舞い込んできた。「村山元首相が政経学部の出身だから」という理由である。グズグズしてはいられないので、早速、村山さんに電話して了承していただいた。一度そういう役を引き受けると、どういう訳か「村山元首相」への「お願い」は私の役目となる。「政経学部の呼びかけ人」は私だけではないのだが、依然として私の役目になっている。「尿管結石の手術」のために私が参加できなかった最初の集会である「千代田4大学共同講演会」のメッセージを村山さんからいただくお願いも私の役目であった。村山さんはメッセージをすんなり引き受けてくださった。私のパソコンにそのメッセージがあるので、それを紹介して「理事長のページ」を閉めることにする。

 私は「安全保障関連法案(安保法案)に反対するオール明治の会」呼びかけ人の一人として、「オール明治の会」主催による本日の「安保法案反対シンポジウム」に参加された皆さまにメッセージを送ります。

皆さまもご存じのように、明治大学建学の精神は「権利自由・独立自治」です。この精神は、「個人の権利と自由を承認し、学問の独立を保障する」社会を創り、発展させることこそ明治大学の使命である、との理念を謳っているものです。明治大学の大学人が、建学から今日まで130余年の長きにわたって、この使命、理念を堅持してきたのは、平和な社会と人びとの幸福の実現を目指してきたからに外なりません。

ところが、安倍政権は、武器輸出を視野に入れた「産官学の結集力を軍事分野にも有用活用せよ」と主張しています。先般、「防衛省」が軍事につながる基礎研究を初めて公募したのはその一環です。これは、既に1950年に日本学術会議が総会において「戦争を目的とする科学の研究には今後絶対に従わない」との決意を示して、日本の大学と研究者が軍事研究を拒否してきたことへの「挑戦」だと言わなければなりません。「安保関連法案」が「戦争法案」と呼ばれる所以はここにも厳然として存在しています。
本シンポジウムに参加された皆さま、安倍政権によるこのように危険な「安保法案」に反対し、明治大学建学の精神である「権利自由・独立自治」が希求する「平和な社会と人びとの幸福の実現のために、共に前へ進みましょう。

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