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『二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター(通巻104号)』(転載)

二木立

発行日2013年03月01日

出所を明示していただければ、御自由に引用・転送していただいて結構ですが、他の雑誌に発表済みの拙論全文を別の雑誌・新聞に転載することを希望される方は、事前に初出誌の編集部と私の許可を求めて下さい。無断引用・転載は固くお断りします。御笑読の上、率直な御感想・御質問・御意見、あるいは皆様がご存知の関連情報をお送りいただければ幸いです。


目次


訂正

本「ニューズレター」103号の第1論文「地域包括システムと医療・医療機関の関係を考える」の2番目の小見出し「医療・病院の位置づけを軌道修正」中の<山口県御調町(当時)>は<広島県御調町(当時)>の誤りです。『日本医事新報』掲載論文では、編集部が元原稿の誤りを訂正してくれていたのですが、「ニューズレター」では、それに気づかないまま元原稿を掲載してしまいました。


1.論文:地域包括ケアシステムと医療・医療機関の関係を正確に理解する

(「二木教授の医療時評(その110)」『文化連情報』2013年3月号(420号):12-16頁)

昨年末の衆院選挙により自公政権が3年ぶりに復活しましたが、医療・介護提供体制改革については民主党政権のものが継続されることは確実です。私はその象徴が「地域包括ケアシステム」だと思います。これは前の自公政権時代の2008年に公式の検討が始まりましたが、民主党政権成立後も軌道修正されることなく2010年3月に「地域包括ケア研究会報告書」がまとめられ、その内容が「社会保障・税一体改革」に盛り込まれました。

ただし、医師・医療関係者の中には、地域包括ケアシステムは医療とは無関係で、逆にそれにより介護費が増えて医療費が圧迫されると心配している方が少なくありません。そこで本稿では、地域包括ケアシステムそのもの、およびそれと医療・医療機関との関係を正確に理解するためのポイントを述べます。

実態は「システム」ではなく「ネットワーク」、主たる対象は都市部

地域包括ケアシステムそのものを正確に理解する上で、重要なポイントは2つあります。1つは、それの実態は全国一律の「システム」ではなく「ネットワーク」であり、それの具体的在り方は地域により大きく異なること、もう1つはそれの主たる対象としては今後人口高齢化が急速に進む都市部が想定されていることです。

「地域包括ケア研究会報告書」の段階では、この点は必ずしも明確ではありませんでした。しかし、その後、第1点については厚生労働省高官が、第2点については上記研究会座長の田中滋慶大大学院教授が、率直に語るようになっています。

第1点について、最初に発言したのは武田俊彦厚生労働省社会保障担当参事官(当時)でした。「[在宅について]あまり固定的に考えず、高齢者にとってどのような医療・福祉・生活のあり方が理想かを各地域で考え、その中に在宅医療をどう組み込むかを考えた方がいい」(『日本医事新報』2012年6月23日号:15頁)。最近では、古都賢一厚生労働省社会・援護局総務課長が、福祉関係者に多い連携に対する「制度化」・「標準化」願望(幻想)を批判して、「問題解決を制度に期待しても意味はない」と一刀両断で切り捨て、「暗黙知という見えない隙間を埋めることが地域における連携だ」と述べました(日本介護経営学会第8回学術大会。『介護保険情報』2013年1月号:24-25頁)。

第2点について、田中滋氏は、地域包括ケアシステムの「整備が特に急がれる地域」として「東京23区や大阪市、名古屋市といった大都市圏の"近郊"」を挙げ、その理由として、大半の地方や大都市部と異なり、大都市圏近郊の住宅地には高齢者ケアのインフラが整っていないことをあげました(「地域包括ケアシステムの全体像」『MMPG医療情報レポート』105号:,2011)。さらに田中氏は「このシステムで日本中をカバーできるとはもともと考えていない。そもそも、この戦略の主なターゲットは"都市"とその近郊である」と言い切りました(「同時改定は『医療と介護は一体』というメッセージ」『訪問看護と介護』2012年7月号:598頁)。

このように、地域包括ケアシステムの整備が全国一律で行われるわけではなく、その具体的あり方、特にどのような組織がイニシアチブを取るかは、地域によってまったく異なるのです。

地域包括ケアシステムの主な対象が都市部であるとの田中氏の発言は一見「ドライ」にみえます。しかし今後の人口高齢化が首都圏を中心とした都市部で著しいこと、およびこれら地域では他地域に比べて、人口当たりの病床数・老人施設定員がはるかに不足していることを考えると、合理的とも言えます。例えば、2005~2025年の20年間に、75歳以上の後期高齢人口は日本全体では52.3%増加するのに対して、埼玉県では103.9%、千葉県では91.8%、神奈川県では84.9%も増加します。東京都はやや低く62.4%の増加ですが、絶対数の増加は106.7万人と、他の道府県を圧倒しています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の都道府県別将来推計人口-平成17(2005)~47(2035)年-平成19年5月推計」91頁・表3から計算)。

医療・病院の位置づけを軌道修正

医師・医療関係者には、地域包括ケアシステムは介護保険制度改革であり、医療、特に病院とは直接関係ないとの理解が根強くあります。法的に言えばこれは間違いとは言えません。実際に、2011年の介護保険法改正直後の老健局長通知(同年6月22日)では、「[法]改正の趣旨」で、「医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する『地域包括ケアシステム』の構築」と述べている以外、医療への言及はありませんでした。

「地域包括ケア研究会報告書」も診療所の医療にしか触れていませんでした。しかも要介護状態の重度化等で「施設や病院に依存せざるをえない現状」が否定的に描かれ、「2025年の地域包括ケアシステムの姿」では、ターミナル期を含めて、「病院等に依存せずに住み慣れた地域での生活を継続することが可能になっている」ことを想定していました。

しかし、この点に関しては、厚生労働省高官が昨年から軌道修正を行うようになりました。それをもっとも直截に述べたのは、明晰な頭脳と率直な発言で知られる香取照幸政策統括官(当時。現・年金局長)です。氏は、昨年6月の日本慢性期医療協会総会の講演で、地域包括ケアシステムの概念に「入院機能を持った病院を組み込むことが必要」、「これまでは有床診のような20床くらいの小規模なサービスを考えていたが、もう少し規模の大きいものを考えないといけない」と明言しました(『日本医事新報』2012年7月7日号:22頁)。

私は、この軌道修正は現実的であると思います。そもそも、広島県御調町(当時)で1970年代に日本で最初に「地域包括ケア」を提唱・実践した山口昇医師は、「公立みつぎ総合病院を核とした地域包括ケアシステム」を想定していました(山口昇「地域包括ケアのスタートと展開」、高橋紘士編『地域包括ケアシステム』オーム社,2012)。

「社会保障・税一体改革大綱」(昨年2月閣議決定)の「医療・介護等」改革では「医療サービス提供体制の制度改革」と「地域包括ケアシステムの構築」が二本柱であり、両者は一体と理解するのが自然です。

医療法人等のサ高住開設を奨励

私が、地域包括ケアシステムと医療・医療機関との関係に関して注目しているのは、厚生労働省高官が、昨年から、医療法人等によるサービス付き高齢者向け住宅等の開設を奨励する発言を繰り返していることです。「…粗悪な高齢者用住宅がつくられないよう、医療法人のような医療提供者が街づくりに関与するパターンがあってもいいと個人的には思っている」(武田俊彦氏。上掲誌)。「私は、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅のような集住系の施設に入ってもらい、そこに医療や介護サービスを付けて対応するしか方法がないと思っている。(中略)各医療法人が土地や建物、医療・介護サービスなどを提供することで、質や効率性を高めていくことが求められる」(鈴木康裕保険局医療課長(当時)。『日経ヘルスケア』2012年5月号:64頁)。

私はこのような率直な発言も現実的と思います。と同時に、これらの発言の背景には、厚生労働省の以下のような思惑・危機意識があると推察しています。今後急増する死亡者を病院ですべて看取ることは困難であるが、既存の老人福祉施設も財政制約上大幅には増やせない。かといって自宅での看取りを大幅に増やすことは困難なので、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームでの看取りを促進したい。しかし、粗悪なものが急増すると社会問題になるので、非営利でケアの質が担保されやすい医療機関を母体とするものを増やしたい。

ただし、有料老人ホームやサ高住の多くは実態的には「入所施設」に近いため、それらの整備については、国土交通省と厚生労働省との間に「温度差」があります。具体的に言えば、国土交通省が両者の整備に前のめりなのに対して、厚生労働省幹部の中にはそれに懐疑的な方が少なくありません。ともあれ、地域包括ケアシステムにおいて医療・医療機関が果たすべき役割が大きいことは明らかであると思います。

今後も死に場所の中心は病院で、老人施設等が補完

私は「地域包括ケアシステム」の推進には賛成ですが、それにより在宅ケアを拡充しても、今後の死亡急増時代に「自宅死亡割合」を大幅に高めることは困難であると考えています。この根拠については、本連載109「21世紀初頭の都道府県・大都市の『自宅死亡割合』の推移」(本誌2013年2月号)で、詳しく述べました。

今後の死に場所に関して誤解を与えかねないのが、2030年には、医療機関、介護施設(特別養護老人ホーム等の老人施設と老人保健施設)、自宅での死亡を除いた「その他」が約47万人(約3割)に達するとする厚生労働省「死亡場所別、死亡者数の年次推移と将来推計」(図。略)です。この推計には、次の3つの仮定が置かれています。(1)今後病床数の増加はないので、医療機関での死亡数は現在と同じ。(2)介護施設は今後2倍に整備されるので、そこでの死亡も2倍になる、(3)在宅ケア施策の強化により、自宅死亡は1.5倍に増加する(ただし自宅死亡割合は12%で一定)。

私は、仮説(3)はそれほど無理がないと考えますが、仮説(1)と(2)は、過去10~20年の趨勢に反し、大幅な過少推計だと判断しています。まず仮説(1)は、過去20年間(1990~2010年)に病院病床数が167.7万床から159.3万床へと8.3万床(5.0%)減少したにもかかわらず、同じ期間に平均在院日数が50.5日から32.5日へと35.6%も短縮したため、病院内での死亡者数は58.7万人から93.2万人へと34.4万人(58.6%)も増加した事実と矛盾します(「今後の死亡急増で『死亡場所』はどう変わるか」『日本医事新報』2012年12月22日号)。私は、今後、一般病床(急性期)病床の平均在院日数の低下は多くは望めないが、慢性期病床(療養病床)の平均在院日数は相当短縮可能であると判断しています。

次に、仮説(2)は、過去10年間(1999~2009年)に特別養護老人ホームの死亡数は1.7万人から3.6万人へと2.2倍も増加し、この増加の半分が定員の増加であり、残りの半分が定員に占める死亡割合の増加である事実と矛盾します(池崎澄江・池上直己「特別養護老人ホームにおける特養内死亡の推移と関連要因の分析」『厚生の指標』2012年1月号)。2012年の診療報酬・介護報酬改定で鮮明になったように、今後も特別養護老人ホームや老人保健施設等(介護施設)での看取りを促進するための経済的誘導が図られることは確実です。それに対応して、介護施設では今後、定員増を上回る看取りの増加が期待できます。

そのために、私は、今後の死亡急増時代にも、死亡場所の中心は病院であり、それを介護施設や、医療機能のバックアップのあるサービス付き高齢者向け住宅が補完するようになると予測しています。

[「地域包括ケアシステムと医療・医療機関の関係を考える」(『日本医事新報』2013年1月19日号(第4630号):30-31頁)に、第184回東海病院管理学研究会(2013年1月26日)等での報告と質疑を踏まえて加筆しました)]。

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2.日本福祉大学学長就任前のご挨拶

(「東京医科歯科大学医科同窓会報」第257号(2013年2月28日号):13頁)

本年4月に日本福祉大学(愛知県)の学長に就任することになりました。本学医学部卒業者が、医学・医療系以外の大学の学長に就任するのはおそらく初めてであると思い、私の今までの研究・活動と日本福祉大学の紹介をさせていただきます。

私は1972年3月に医学部を卒業した後、13年間、東京・代々木病院にリハビリテーション医として勤務し、上田敏教授(東大医学部)の指導を受けながら、脳卒中患者の早期リハビリテーションの診療と臨床研究に従事しました。1983年には、「脳卒中患者の障害の構造の研究」により、東大で学位を取得しました。

と同時に、私は団塊の世代で、在学中に学生運動に参加する中で、社会科学の勉強の面白さに目覚め、卒業後も、故川上武先生(医師・医事評論家)の指導を受けながら、医療問題・医療経済学の勉強と研究を続けました。1978年には『日本医療の経済学』(大月書店。川上武先生と共編)、1985年には『医療経済学』(医学書院)を出版しました。

その結果、1985年4月に日本福祉大学社会福祉学部教授に採用されました。当時、日本福祉大学は東京の医療関係者にはまったく無名であり、東京にある日本社会事業大学(渋谷区。現在は清瀬市)とよく間違われました。

ただし、日本福祉大学は、1953年に開設された福祉系大学では老舗かつ最大規模の大学で、現在は、社会福祉学部を中心に、経済学部、福祉経営学部(通信教育)、子ども発達学部、国際福祉開発学部、健康科学部の6学部4研究科(学生約13,000人)を有しています。元々は文科系の大学ですが、2009年度には健康科学部リハビリテーション学科を開設し、さらに2015年度には看護学部を開設する予定です。福祉系大学には珍しく、医師資格を有する教員が、私を含めて6人います。

1985年度以降、本年度まで28年間、学部生・大学院生の教育と医療経済・政策学の研究に従事してきました。研究面では、政策的意味合いが明確な実証研究と医療・介護政策の分析・予測・批判・提言の「二本立」の研究を行ってきました。28年間で、単著18冊、共著4冊、共訳書2冊を出版しました。このうち、『現代日本医療の実証分析』(医学書院,1990)で吉村賞を、『保健・医療・福祉複合体』(医学書院,1998)で社会政策学会奨励賞を受賞しました。2007年に出版した『介護保険制度の総合的研究』(勁草書房)で第2の学位(社会福祉学)を取得しました。最新の著作は、昨年5月に出版した『TPPと医療の産業化』(勁草書房)です。

日本福祉大学勤務の後半の14年間には、大学院研究科長・社会福祉学部長・大学院委員長・副学長・常任理事を歴任しました。2003~2007年度の5年間は、文部科学省21世紀COEプログラムの拠点リーダーも勤めました。私は現在は日本医師会会員ではありませんが、2006年度から日本医師会病院委員会委員を、2010年度からは同医療政策会議委員も務め、日本医師会の医療政策立案のお手伝いもしています。

本来なら、2012年度末で定年退職し、2013年度から5年間(70歳まで)特別任用教授に再雇用されることになっており、これにより「管理職人生」から解放されて、大学院教育と研究に専念できると、その日が来るのを心待ちにしていました。

ところが、やむを得ない事情により、急遽、昨年9月に告示された学長選挙に立候補することになりました。このことは、私にとっては「青天の霹靂」であり、しかも今まで描いていた人生設計が大きく変わる「苦渋の選択」でもありました。しかし、私は代々木病院の勤務医時代も含めて40年間、職場で依頼された仕事・役職は絶対に断らないという「社会人としての美学」を貫いてきたので、今回も覚悟してお引き受けしました。

言うまでもなく学長の仕事はたいへんな激職・重職です。しかも、急速に進む少子化と首都圏・関西圏の巨大ブランド大学への受験生・学生の「二極集中」のため、日本福祉大学のような地方の中規模大学は大きな困難に直面しており、学長の責務は従来に増して重くなっています。私は65歳で決して若くはありませんが、健康状態は概ね良好で、知力・気力も充実しており、4年間の学長の激務・重責に十分耐えられると判断しました。

立候補する以上は必ず当選しなければならないと考え、いつもお世話になっている多くの教職員からの意見や助言も参考にして、以下の3本柱の「所信表明」を練り上げ、教職員の信を求めました。(1)「新中期計画」成功の先頭に立ちます。(2)教学・経営共同で「日本福祉大学長期ビジョン」(仮)を策定します。(3)全教職員を代表する理事として、大学の経営改善と理事会の民主的運営に努力します(本学の学長選挙では、全教職員が平等に投票権を有しています)。

学長選挙には私を含め2人が立候補しましたが、幸い当選することができました(投票率92%、私の得票率63%)。任期は4年間です。その後、所定の学内手続きを経て、10月の理事会で正式に任命されました。来年度から、上記3本柱の改革に取り組もうと決意しています。

と同時に、学長業務と研究のバランスに留意しつつ、医療・介護政策の研究と発信も続ける所存です。そのために、学長就任後も、代々木病院勤務医時代以来の私のもう一つの美学「忙しいとは絶対に言わない」を守り、今まで以上に寸暇を惜しんで勉強・研究を続けたいと思っています(私の2つの「美学」については、『医療経済・政策学の視点と研究方法』勁草書房,2006,165-166頁参照」)。

その一環として、2005年から配信している「二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター」(http://www.inhcc.org/jp/research/news/niki/)は、2013年度以降も最低4年間、(できるだけ)毎月配信するよう努力しようと思っています。その前提となる、『文化連情報』の連載「二木教授の医療時評」『日本医事新報』の連載「深層を読む・真相を解く」も継続したいと思っています。

なお、日本福祉大学での28年間の教育経験をまとめた『福祉教育はいかにあるべきか-ゼミの方法と論文指導』(仮題。勁草書房)を本年4月に出版する予定です。実は同じ時期に、今まで14年間蓄積してきた大学・大学院の管理運営・経営業務の経験とノウハウについても一書にまとめようと考えていたのですが、それは4年後(2016年度末)の学長退任時に延期しました。

今後とも、よろしくお願いします。

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3.最近出版された医療経済・政策学関連図書(洋書)のうち一読に値すると思うものの紹介(その25):7冊

書名の邦訳中の[ ]は私の補足。

○『コスト病-なぜコンピューターは安くなり、医療は安くならないのか』
(Baumol WJ, et al: The Cost Disease - Why Computers Get Cheaper and Health Care Doesn't.Yale University Press,2012,249 pages)

「コスト病」とは、 物的生産部門では労働生産性が向上し、価格が低下するのと異なり、サービス生産部門(芸術、医療、大学等)では労働生産性は上昇せず、価格が上昇する理由を説明するために、アメリカの経済学者ボウモルが1960年代に提唱した概念です。本書は、この概念を用いて、アメリカにおける近年の医療費・大学教育費増加を説明すると共に、今後もそれが続くことは確実だが、社会がそれを支払不能(unaffordable)になることは決してないと主張しています。ただし、それの大前提は今後も物的生産部門の労働生産性の上昇(最低年2%)が続くことです。著者は単純な楽観論者ではなく、「コスト病は特に低所得者に悪影響を与える」等6つの警告も行っています(59-66頁)。

序章と第4章「我々は支払い可能だ」と第6章「コスト病についてのよくある誤解」を中心に拾い読みするだけでも、広い視野が得られ、医療費抑制が不可避との思い込みの「解毒剤」になると思います。なお、ボウモル理論に基づく「何が医療費を増加させるか?」についての実証研究は、本「ニューズレター」48号(2008年8月)で紹介しました(Hartwig J: What drives health care expenditure? Baumol's model of "unbalanced growth" revisited. Journal of Health Economics 27(3):603-123,2008.)。

○『医療技術の経済学(医療経済学と医療サービス研究の進歩 23巻)』
(Bolin K, Kaestner R (eds): The Economics of Medical Technology. Advances in Health Economics and Health Services Research Volume 23. Emerald, 2012, 198 pages)[研究論文集]

医療技術(医薬品、医療機器、外科手術手技等)の市場について理論的・実証的に検討した、以下の7論文を収録しています。「バイオ・医薬品部門における研究開発の契約条項についての諸側面」、「相互依存市場に於ける医薬品の上市と価格付けについての規制の影響」、「医薬品イノベーションがアメリカの高齢者の機能的障害に与える影響:2004年全国ナーシングホーム調査から得られたエビデンス」、「効果比較研究、技術[の採用と]廃棄[の決定要因]、および医療費」、「質についての最初のシグナルは新し医療技術の普及にどのように影響するか?新しい抗がん剤治療の事例」、「技術普及と医療イノベーションの代替」、「医療保険と病院の技術導入」。

○『応用[計量]医療経済学』(Jones AM, et al: Applied Health Economics Second Edition. Routledge, 2013,396 pages)[上級教科書]

「ルートリッジ社 経済学と財政学の上級教科書」シリーズの1冊で、初版(2007年。本「ニューズレター」37号(2007年9月)で紹介)以来6年ぶりの全面改定版です。医療経済学と主要雑誌における最近の進歩を完全に反映すると共に、新たに個人レベルの医療費の記述とモデリングに関する章が加えられたそうです。最新のコンピュータ・ソフトウェアを用いて、イギリス・EU・アメリカ等の、健康の自己評価と医療利用・医療費についての大規模調査の計量経済学的分析を行う手法について詳細に解説しています。一般理論よりも、実証的事例研究の紹介が中心です。

4人の著者のうち最初の2人はイギリス・ヨーク大学の医療経済学者で、残り2人はオランダとイタリアの大学の研究者です。そのためか、アメリカの(計量)医療経済学で定番となっている医療の需要・供給の計量分析は含まれておらず、アメリカ的に言えば「医療サービス研究」と言えます。

計量医療経済学あるいは医療疫学を本格的に学ぶ場合の必読書と言えるかもしれません。ただし、読者対象としてコンピュータ・プログラムに習熟している人を想定しており、本文にも多数のプログラム式が掲載されているため、コンピュータ・オタクでないと歯が立たないと思います。

全5部・12章で、その構成は以下の通りです。第1部 データの記述と要約(1 データと調査デザイン、2 健康のダイナミックスの叙述、3 医療費の記述)、第2部 カテゴリー・データ(4 健康の不均質性の報告、5 健康とライフスタイル)、第3部 継続データ(duration data)(6 喫煙と死亡率、7 健康と退職)、第4部 パネルデータ(8 健康と賃金、9健康のダイナミックスのモデリング、10 無回答と脱落バイアス)、第5部 医療データ(11 計数データ・モデル、12 医療費のモデリング)。

○先進国と新興国における公的医療改革の経済学
(Clements B, et al: The Economics of Public Health Care Reform in Advanced and Emerging Economies. International Monetary Fund (IMF), 2012,370 pages)[国際比較研究・論文集]

IMF(国際通貨基金)の財政問題部所属の2人が編者となり、先進国・新興国の医療改革の経験を、事例研究と国際比較の両面から検討しています。IMFはマクロ経済の安定を使命としているため、論文の多くは、公的医療費の抑制と私的医療費の拡大にアクセントを置いています。全5部(17章)で構成されています:第1部 公的医療費の趨勢と見通し、第2部 医療財政・供給における私的部門の役割、第3部 横断的国際比較研究、第4部 国別事例調査:先進国、第5章 国別事例調査:新興国。第4部11「日本の医療制度改革の課題」は井伊雅子氏が執筆しています。

○『保健医療政策の形成 第2版』(Buse K, et al: Making Health Policy 2nd Edition, Open University Press,2012,212 pages)[初級教科書]

2005年に初版が出版されたものの、7年ぶりの全面改定版です。イギリスの「公衆衛生を理解する」シリーズ(全20冊)の一冊で、保健医療政策は文脈、諸アクター、プロセスの相互作用を通して形成されるという枠組みを用いて、国際的視野から保健医療政策の形成について概説しています。以下の10章です:1 保健医療政策の枠組み、2 権力と政策プロセス、3 保健医療政策における国家と私的部門、4 課題設定、5 政府と政策プロセス、6 利益団体と政策プロセス、7 政策の含意、8 政策プロセスのグローバル化、9 研究・評価と政策、10 政策分析の実行。

○『公衆衛生学年報 32巻,2011』
(Fielding JE, et al (Eds): Annual Review of Public Health. Annual Reviews, 2011,508 pages)[研究年報]

今号の冒頭には、「心循環器疾患[死亡率]の変化の決定要因」について論じた5論文が掲載されています(2番目の論文「心血管系疾患死亡率低下における予防対治療の[寄与率]割合:公衆衛生対臨床医学」(Ford ES, et al)は、本「ニューズレター」102号(2012年1月)で抄訳しました。それに続いて、「疫学と生物統計学」、「環境・職業衛生」、「公衆衛生の実践」、「社会環境と行動」、「医療サービス」のテーマ別に、総説的論文が6~10本掲載されています。

○『WHO患者安全カリキュラムガイド 多職種版』
(WHO Patient Curriculum guide: Multi-professional Edition 2011, WHO 2011, 272 pages.
http:/www.who.int/patientsafety/education/curriculum/tools-download/en/index.html )

医療系教育機関による安全教育のための効果的な能力開発の支援を目的とした包括的な指針です。東京医科大学の大滝純司・相馬孝博両教授(当時)監訳の日本語版が、東京医科大医学教育学講座のHPに全文公開されており、無償でダウンロードできます:
http://www.tokyo-med.ac.jp/mededu/who_pt_curriculum.html

以下、日本語版に基づいて紹介します。本書は「パートA:指導者向け指針」と「B:カリキュラム指針のトピック」の2部構成で、それぞれ医療分野の教育者、医療分野の教育者と学生を対象にしています。パートBは、次の11のトピックについて説明しています:(1)患者安全とは、(2)患者安全におけるヒューマンファクターズの重要性、(3)システムとその複雑さが患者管理にもたらす影響を理解する、(4)有能なチームの一員であること、(5)エラーに学び害を予防する、(6)臨床におけるリスクの理解とマネジメント、(7)品質改善の手法を用いて医療を改善する、(8)患者や介護者と協働する、(9)感染症の予防と管理、(10)患者安全と侵襲的処置、(11)投薬の安全性を改善する。なお、最後の頁の「監訳者の言葉」によると、日本では「インシデント」は「患者有害事象とならなかったもの」と(狭く)理解されていますが、世界的には「患者有害事象の発生の有無を問わない広い概念」だそうです。

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4.最近発表された興味ある医療経済・政策学関連の英語論文

(通算87回.2012年分その12:7論文)

「論文名の邦訳」(筆頭著者名:論文名.雑誌名 巻(号):開始ページ-終了ページ,発行年)[論文の性格]論文のサワリ(要旨の抄訳±α)の順。論文名の邦訳中の[ ]は私の補足。

○医療技術評価アウトカムの異同:5か国の比較研究と[新薬の]給付決定への含意
(Nicod E, et al: Commonalities and differences in HTA outcomes: A comparative analysis of five countries and implications for coverage decisions. Health Policy 108(2-3):167-177,2012)[国際比較研究]

本研究の目的は、5か国(イングランド、スコットランド、スウェーデン、カナダ、オーストラリア)の公的医療技術評価機関(以下HTA)の新薬の保険給付についての勧告のバラツキと3領域の医薬品(抗がん剤、稀少薬、中枢神経系薬剤)における意志決定の基準を明らかにし、国家間の差を最少化するための方法を示唆することである。2007~2009年に、上記5か国のHTAのうち最低限1国のHTAが行った287の医薬品についてのすべての勧告(リスト掲載、同条件付き掲載、同非掲載)を収集し、勧告の一致レベルをカッパ係数で測定した。各指標の関連は対応分析(correspondence analysis )により検討した。その結果、5か国のHTAの勧告には大きなバラツキが存在し、医薬品の46%で一致していなかった。5か国のHTA間の一致レベルは低い~中等度であった。上記3領域については、一般的パターンとは異なる不一致があった。医薬品の相対的効果についての期待もHTA間で異なっていたが、個々のHTAの判断基準は全医薬品で一貫していた。

二木コメント-実に詳細な比較研究であり、日本における医薬品・医療技術の経済評価に携わる方必読と思います。医療技術評価が科学的根拠だけでなく、各国の価値判断の違いによっても大きな影響を受けることがよく分かります。

○薬剤費用がカナダの健康アウトカムの決定要因であるとの見解の再検討
(Guindon GE, et al: A second look at pharmaceutical spending as determinants of health outcomes in Canada. Health Economics 21(12):1477-1495,2012)[量的研究・論争]

カナダでは過去数十年間、1人当たり薬剤費が増加し続け、薬剤費の総医療費に対する割合は1985年の9.5%から2003年には16.4%に急増した。2005年にCremieux等は、カナダでは薬剤費と健康アウトカム(特に乳児死亡率と65歳時平均余命)の間には強い統計的関連があるとの研究を発表した。本研究は医薬品が健康アウトカムの決定要因であるとの見解を再検討する。そのためにCremieux等が用いたデータと統計手法の適切性を検討し、彼らの結果の頑健性を検証した。一般化最小二乗(FGLS)推定を行ったところ、彼らの結果と異なり、全体としては公私の薬剤費と乳児死亡率、65歳時平均余命との間には明確な関連は認められなかった。

二木コメント-同種データを用いても、統計解析手法と変数選択の違いにより、結果が大きく異なる好例と思います。この論文に続いて、Cremieux等による反論、本論文の著者による再反論が掲載されており、医療費水準の決定要因の研究者で、しかも計量経済学について相当レベルの知識を持っている方にはこたえられないかもしれません。それにしても、「いい加減な回帰」、「不正確な方法」等の激しい言葉の応酬には驚かされます。

○台湾の国民健康保険[国民皆保険]が高齢者死亡率に与える影響:再考
(Chang S: The effect of Taiwan's National Health Insurance on mortality of the elderly: Revisited. Health Economics 21(11):1257-1270,2012)[量的研究]

台湾は1995年3月に「国民健康保険」(NHI)」という名称の普遍的強制加入医療保険制度を創設しした。NHIは2100万人の市民に包括的な医療給付を行っており、そのうち860万人は制度創設前は無保険者であった。2007年のChenらの研究では、NHIにより医療利用は増加したが、死亡率は低下しなかったとされた。Chenらが用いたのと同じデータセットの最新データとより詳細な死亡データを用いて、指数関数死亡ハザードモデルを用いて、この問題を再検討したところ、NHI創設前に無保険者であった高齢者の死亡リスクは、NHIが創設されなかったと仮定した場合と比べ、平均24%低いことが明らかになった。ただし、NHIの死亡リスク引き下げ効果はNHI創設後6年間に限定されていた。このことは、高齢になる以前の無保険状態がもたらす損害(damage)の修復が困難なことを示唆している。

二木コメント-アメリカ以外の国・地域で、医療保険(国民皆保険)の延命効果を実証した貴重な研究です。同種データを用いても、統計解析手法と変数選択の違いにより、結果が大きく異なるもう一つの好例と思います。

○医療保険へのアクセス拡大が[アメリカの]社会保障障害保険[年金]受給者の健康と死亡率に与える効果
(Weathers II, RR, et al: The effect of expanding access to health insurance on the health and mortality of social security disability insurance beneficiaries. Journal of Health Economics 31(6):863-875,2012)[量的研究]

アメリカ社会保障庁の「給付拡大モデル事業」(社会保障障害保険[年金]受給者のうち無保険者に対してランダムに医療保険を給付する社会実験。2007年10月~2008年11月に実施)のデータを用いて、医療保険拡大が健康と死亡率に与えるインパクトを推計した。intent-to-treat推計(研究の途中で脱落した症例もすべて含めて推計)を行ったところ、医療保険への新規加入者(介入群。611人)の加入1年時の健康の自己評価、精神的健康、および身体的健康は対照群(615人)に比べて有意に高かったが、観察期間中の死亡率の有意の差はなかった。対照群の30%は実験開始後1年以内になんらかの医療保険に加入していた。2段階最小二乗法モデルにより、介入群のうちモデル事業がなければ医療保険には加入しなかったであろう人々の健康についても推計したところ、モデル事業が健康の自己評価と精神的健康を大幅に改善することが確認された。

二木コメント-無保険者を対象にしてランダムに医療保険を期間限定で提供し、その期間の健康増進効果を実証的に検討するとは、なんともアメリカ的です。なお、アメリカ・オレゴン州のメディイドで行われた同種の社会実験については、本「ニューズレター」89号(2011年12月)で紹介しました(「[アメリカの]メディケイド拡大の効果-オレゴン州の実験から学ぶ」Baicker K, et al: The Effects of Medicaid coverage - Learning from the Oregon Experiment. The New England Journal of Medicine 365(8):683-685,2011)。

○[アメリカにおける]患者主導のメディカルホーム:最近の研究のレビュー
(Hoff T, et al: The patient-centered medical home: A review of recent research. Medical Care Research and Review 69(6):619-644,2012)[文献レビュー]

患者主導のメディカルホームは医療提供面での重要な革新であり、それに関する研究論文の幅と実質を評価する必要がある。そこで成人対象の患者主導のメディカルホームが初めて定義された2007年から2010年にかけて発表された、メディカルホーム評価の学術論文21をレビューした。それにより、全体としてはメディカルホーム医療の提供と質の改善には関連があること、およびメディカルホーム医療と救急医療などの高額医療利用の減少にも関連があること(11論文7論文)が分かった。しかし、メディカルホーム医療と他の要因との関連は明確ではなかった。例えば、入院率の変化を検討した7論文のうち、3論文では減少、4論文では有意差なしだった。メディカルホームと医療費との関連を検討した論文は5つあったが、結果はバラバラであった(1論文が費用節減、1論文が費用増加、3論文が有意差なし等)。初期のメディカルホームの評価研究は、メディカルホームのデザインや実施面、および研究者がそれらのどれを選択するかに関して、大きなバラツキがあることを反映している。

二木コメント-26頁にも及ぶ膨大な文献レビューで、メディカルホームについての必読文献と思います。ただし、冒頭の要約はかなり恣意的で、入院率や医療費が減少するとは言えない等の重要な知見が書かれていません。なお、本「ニューズレター」99号(2012年10月)にも、メディカルホームについての別の文献レビューを紹介しましたが、そこでも「多くの論文はメディカルホームがさまざまな効果があると主張しているが、それらには方法論や効果測定に問題があることが分かった」とされていました([アメリカの]患者中心のメディカルホームは機能しているか?患者中心のメディカルホームと患者関連アウトカムについての文献の批判的統合(Alexander Jeffrey, et al: Does the patient-centred medical work? A critical synthesis of research on patient-centred medical homes and patient-related outcomes. Health Services Management Research 25(2):51-59,2012)。

○特集[イギリスとアメリカにおける終末期医療についてのワークショップ]
(Health Economics, Policy and Law 7(4),2012)

2010年12月にロンドン大学経済学部と(アメリカ)コロンビア大学医療政策グループの共催で開かれたワークショップで発表された以下の9つの報告と「序文」が掲載されています。両国における終末期医療(費)の実態とそれについての研究・論争を鳥瞰することができます。

○イングランドにおける病院に対する質に応じた支払いによる[院内]死亡率低下
(Sutton M, et al: Reduced Mortality with Hospital Pay for Performance in England. New England Journal of Medicine 367(19):1821-1828)[量的研究]

質に応じた支払い(pay-for-performance)は、患者のアウトカムを改善させるというエビデンスがほとんどないにもかかわらず、国際的に採用されている。2008 年に、米国の病院品質インセンティブモデル事業に基づいた「質向上」プログラムが、イングランド北西部(人口 680 万人)のすべての国民保健サービス(NHS)病院に導入された。質に応じた支払いプログラムが導入された24 の病院に、肺炎、心不全、急性心筋梗塞のいずれかにより入院した 134,435 人の30 日院内死亡率を解析した。差の差回帰分析を用いて、プログラム導入前 18 ヵ月と導入後 18 ヵ月の死亡率を、以下の 2 つの対照群の死亡率と比較した:イングランドの他の 132 病院に同じ 3 疾患により入院した 722,139人と,両グループの病院に異なる 6 疾患により入院した 241,009人。その結果、質に応じた支払いプログラムの対象疾患では、リスク調整後の絶対死亡率は有意に低下し,絶対的低下は 1.3 %ポイント、相対的低下は 6%であった。死亡率低下は肺炎でもっとも大きかった(1.9%ポイント)。急性心筋梗塞(0.6 %ポイント)と心不全(0.6 パーセントポイント)の死亡率低下は有意ではなかった。イングランドの一地域におけるすべての NHS 病院で 質に応じた支払いを導入したことに関連して,死亡率に臨床的に有意な低下が認められた。アメリカの同様のプログラムと比較して,イギリスのプログラムはボーナスの額が大きく、質の向上活動に対する病院の投資額が大きかった。

二木コメント-質に応じた支払いによる院内死亡率の低下を大規模調査で明らかにした貴重な研究と思います。成功の要因は各病院に多額のボーナス(初年度だけで総額320万ポンド(500万ドル。約4000万円))が支払われ、しかもそれが質改善のための投資に用いられたことであり、質に応じた支払いが質と費用の両方を高める(つまり、質向上と費用削減は両立しない)好例と思います。


5.私の好きな名言・警句の紹介(その99)-最近知った名言・警句

<研究と研究者のあり方>

<組織のマネジメントとリーダーシップのあり方>

<その他>

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